自分本位
2013年03月05日
"自分本位"の危うさについて考えてみたい。
企業倒産のケースで「急激な拡大路線がわざわいしたのではないか」と、よく言われることがある。そして、過剰投資や運転資金のアンバランスなど財務的な問題が指摘されることが多い。
しかし、問題の本質は財務ではなく、人だと考える。
先ずはトップの求心力が問題となる。いかに効率的で、機能的な仕組みを考え、収益拡大の構造を構築したとしても、組織の重心となるべく、メンバーから尊敬されるリーダーが存在していなければ、拡大することによって組織の求心力は損なわれ、いずれ分裂の危機を迎える。
さらに、幹部の人間的な質が問題となる。規模の拡大に伴い、幹部の質が低下し始める。つまり、「自分さえ良ければいい」という考え方をする者が増えてきて、必ず組織は求心力を失い崩壊の一途を辿りだすことになる。
トップや幹部の考え方は、確実に組織風土の形成に影響を及ぼすものである。「自分さえ良ければいい」と考える人が上に立つと、必ず"自分本位"な人間の集団と化すこと間違いない。
"自分本位"な考え方をする人間とは、ガン細胞と一緒で、組織にとって危険極まりない存在である。組織の中に、自分の都合や自分の利益、自分の出世や立場を優先して考える価値観が横行してしまうと、組織風土は悪化し、「組織のために、お客様のために」という考えはなくなってしまう。
"自分本位"の反意語は何か?相手本位である。この考え方こそ、良好な組織風土をつくるのに大切だという。全く、その通りである。だが、しかし・・・。
人間は度し難いものだ。「相手のため」と思いつつも、自己主張を押しつけ、相手を束縛するような、"自分本位"に陥ってしまう癖がある。それは、「自分と相手とは違う!」という分離思考の価値観を身につけてしまった人の習慣だからである。
「相手を中心に置いて、自分と相手との関係を考える」という相手本位の考え方で行動しようと思うのであれば、先ずは、「自分と相手とは一つ、同じである」と考える自他非分離(統合)の思考の価値観を養う必要がある。そうでないと、知らず知らずに"自分本位"に陥ってしまうであろう。
とに角、あれやこれやで、"自分本位"な人は自分と密接な関係にある環境と良好な関係性を築けなくなる。そして、関係性が壊れると、結果として、組織は非生産的にならざるを得ないのである。