人間形成
2025年03月05日
最近、戦後80年という言葉をよく耳にする。今年(2025年)が戦後80年の節目であるということからだろう。
戦後の日本は、経済的復興を最優先課題として掲げ、そのための知識教育の制度化を図った。その甲斐もあって、高度経済成長期(1955~1973年の頃)を経て、世界第2位の経済大国になったのは周知の事実である。
その当時流行った言葉に、エコノミックアニマルがある。これは、その当時の日本人は経済上の利潤追求を第一義として活動していたため、国外の人からそう呼ばれたのであろう。
そのせいもあったのだろうか、日本人としての思想・価値観を問い直すようなセミナーも流行っていたし、本屋にはそんな書籍もたくさん並んでいたように思う。
その当時、あるセミナーで紹介され、関心をもった人物がいる。
安岡正篤(1898~1983年)である。書棚を整理していると、十数冊出てきたので懐かしく思い、再読しているので少し紹介したい。
安岡正篤は、日本の易学者、哲学者、思想家。戦後の政界・財界に影響を与えた人の中で、一番手に挙げられる。また、「平成」という元号は、安岡正弘の発案だとも言われている。
その氏が説く"人間形成"において、人間は次の四つの要素から成り立っているという。① 徳性、② 知性・知能、③ 技能、④ 習慣
さらに、人物を修めるための平生の心掛けとして、次の三点を挙げている
① 心中常に「喜神」を含むこと
② 心中絶えず感謝の念を含むこと
③ 常に陰徳を志すこと
そして、人間としての要素をしっかりと認識できたら、次は人間として、自己を高めていく努力が大事になる。
① 寸陰を惜しむこと
② 良き師、良き友を持つこと
③ 愛読書、座右の書を持つこと
④ 感恩報謝の心を持つこと
以前にも紹介した、物事の捉え方としての「目先にとらわれず長い目で、物事の一面だけでなく多面的に、枝葉末節にこだわらず根本的にみてゆく」という思考の三原則も肝に銘じておきたい教えである。
手元にある本だけでも再読に時間がかかると思うが、それだけの価値はあるだろう。
"考える言葉"シリーズ(25-08)