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考える言葉

思考逃避

2023年12月25日

日常性を振り返ってみたとき、自分が"思考逃避"に陥ったことがないかどうか、考えてみよう。あるとすれば、その原因は何だったのか?

 ずいぶん前に購入した本だが、『プロフェショナルシンキング~未来を見通す思考力』(BBT大学編)の中で、組織の中で"思考逃避"をもたらすバリア(障壁)として次の3点を指摘してあったので紹介しておきたい。

 ① 空気を読みすぎる

 ② 他人の言うことを鵜呑みにする

 ③ 組織の作法を重視する

 以下、➀から③について、もう少し踏み込んで考えてみたい。

 まず➀の「空気を読みすぎる」であるが、同質性の強い組織には無言のルール、当たり前の行動が蔓延しており、その組織にしみ込んだ慣習がみんなに空気を読むことを強要し、本来の思考力が削られてしまっているという。例えば、会議の場で発言しない出席者が異様に多いなどは要注意である。

 次に②の「他人の言うことを鵜呑みにする」であるが、相手との間の摩擦を極力なくす方向で思考が無意識に動いていると考えてみよう。「相手の要求は的外れかもしれない」と自問し、その場で「なぜか」という質問をしてみることだ。そうすれば、より根源的な課題が見えてくるかもしれない。

 そして③の「組織の作法を重視する」であるが、組織の規範となる思考を、大きく2つのパターンに分けて考える。

 一つは、「結果インパクト重視」の思考。議論の中身を重視し、その結論の実現のために有効な方法論を考えるもの。

 もう一つは、「手続き重視」の思考。根拠・規定・権限などに沿って正しい手続きを踏むことを最重視したもの。

 特に思考逃避を生み出しやすいのは、二つ目の「手続き重視」の思考が蔓延した組織の場合である。

 以上のように、われわれの仕事や生活環境には、油断すると、"思考逃避"に陥りやすい罠が潜んでいることを十分に自覚しておく必要があるだろう。

 その上で、日常のシーンを振り返って、自分が"思考逃避"に陥ったことがないかを考え、その原因は何であったかを考えてみよう。

 激変で、未来が読めない時代環境にある。いつまでも繰り返しの定型業務だけでうまくいく仕事などあるはずがない。"思考逃避"には気をつけたいと思う。

 

                   "考える言葉"シリーズ(23‐46)

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