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考える言葉

金魚鉢の金魚

1996年11月21日

税金を語る本というのは、殆ど節税の方法とか申告方法を述べた技術論ばかりで、つまりは枝葉末節なものが多い。税理士や税務署のお役人、税金専門の学者という人々は、今の税体系という金魚鉢の中で生きている金魚みたいなものだから、その人たちの話を聞いても何ら根本的解決にはならない。
 ついでに言うと、税理士ほど後ろ向きの商売はない。税理士を雇う目的は、突き詰めれば、
 「いかに税金を逃れながら、税務署から文句を言われずにすませるか」
 ということだ。税金のシステムがもっと簡単なら、税理士のような、生産とは何の関係もない、負のエネルギ-を使わなくてはならない商売はそんなにいらなくなる。有能な人材をいかに後ろ向きの仕事で浪費しているか、全く国家の損失である。
                         (渡辺昇一著「歴史の鉄則」)
 
 「歴史の鉄則~税金が国家の盛衰を決める」という本の中で、著者が述べている税理士観である。いろいろな意見があると思うが税理士の在り方について大変示唆に富んだ論説に思える。
 考えなくてはならない問題は大きく二つある。
 一つは、税理士が税に関して枝葉末節的な考え方しかしておらず、税の根本的な問題を考えようとしていないこと。
 二つは、税理士が経営(社会)関して後ろ向きで、前向き的な関わりを持てていないこと。
 全く、同感である。私たち、職業会計人は、税は勿論のこと経営(社会)に関して戦略的思考と行動を平素から心掛けたいと思う。

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