"車いす"
2012年12月24日
私事であるが、次女がハワイのキャルバリー・バイ・ザ・シー教会で挙式した。花嫁の父として、バージンロードを歩くのはもちろん初体験・・・・・。
今年90歳になる母と義父母(いずれも80代後半)を同行での長旅だったので、心配したが、無事に帰国できた。
嫌がる母に"車いす"を準備したが、使ってみると意外と便利。また、周囲の人たちの気遣いも全然違うことに気づかされた。
ハワイに着くと"車いす"が準備されており、入国手続きの場所まで別ルートで案内してくれる。(入国手続きは一般と同じ。これも別ルートで対応してくれればいいのだが・・・・・。コルセットの金具が反応してか、なかなか通過できなかった)
ハワイ滞在中も、"車いす"の効果は抜群!
歩道でのすれ違い、エレベーターの乗り降りやトイレの順番、レストラン等の案内などあらゆる公衆の場での、人々のさり気なく、優しい配慮に感謝を超え、感動さえ覚える。とに角、年寄りを見る目が優しい。
ルールという形式ではなく、住んでいる人たちの意識の中に、弱者や高齢者に対する優先順位の考え方が根づいている。倫理道徳というよりも、信心からだろう・・・・・。
"車いす"の弱点は、段差。ちょっとした段差でも、思った以上に障害となる。バリアフリーへの配慮が必要だ。その点、アメリカはその取り組みに50年の歴史があると聞いているが、さすがである。至るところで、その恩恵を感じることができた。
さて、人はだれでも、いずれは齢を老い、動けなくなって、そして死を迎える。自分で動くことができなくなったとき、自分を支えてくれる人や環境があれば、人は安心して老いることができる・・・・・。それは、未来に対する掛替えのない安心だ。
今の給料が安くても、仕事がどんなに辛くても働ける間は何とかなるものだ。しかし、働けなくなったとき、動けなくなったとき、誰が面倒を見てくれるのだろう・・・・・。老齢社会と共に、格差社会の到来が告げられている。
十数年前、NN構想の会を立ち上げたとき、いずれ「IGの里」をつくろうと構想していたのを思い出した。中小企業の弱みは、老後の保障が薄いこと。共同で過疎地に土地を求め、農業の事業化をテーマとしたコミュニティ・ファームを運営する。定年後の人生の拠りどころにしてもらうと同時に、新たな生きがいを見出してもらうための里づくり・・・。多様な衆知が集まるところに新たな価値が生まれる(IG)。
視点が変わると、景色は変わる。当然、描く絵のイメージも変わってくる訳で、初めての"車いす"、いい経験をさせてもらった旅行であった。