事業化
2013年04月15日
商品はもちろん、事業にもライフ‐サイクル(life‐cycle)がある。要するに、寿命があるのだ。「導入期」~「成長期」~「成熟期」~「衰退期」という4つの段階をたどるという、例の考え方である。
いま、多くの中小企業が本業の成熟期あるいは衰退期に遭遇し、成長戦略が描けず、苦しんでいる。事業承継問題も相俟って、第二創業への取り組み、新規事業の立上げ、その手法としてのM&Aなどが、取り沙汰されているが、攻守ともに決して容易でないことは周知の事実である。
つい最近も、ドメインの再構築と組織の再編について相談を受けたが、じっくりと腹を据えて、十分な時間をとってやらなければ、片手間でやる訳にはいかない。どれだけの時間とコストをかけてやるかどうか・・・、ほんとうに覚悟がいる。
新たな成長領域を"事業化"することの必要性が叫ばれている。「ナンカ、いい事業ないですかね・・・」と、冗談交じりのホンネを耳にする。
"事業化"の成功要件は二つ。一つは継続性であり、もう一つは社会貢献性である。
つまり、「"事業化"とは、仕事の継続性と社会貢献性を高めていくことである」と、定義することができる。
当然のことであるが、事業の存続のためには、社会(顧客)からの支持が必要である。そのためには、マーケットインの思考を培うべきだ。「顧客が期待しているものは何か?」「その期待に応えられる我が社の強みとは何か?」などを見極めることができる独自の経営観が求められる。
仕事の継続性に必要なことは、3つある。第一に、ビジネスモデルの構築が挙げられる。第二は、仕事の組織化、つまり組織全体として取り組んでいける仕組みをどうつくるかであろう。そして第三は、人材育成の問題がある。
さらに、"事業化"において問題となるのが、既存事業とのバランスだ。一つは、既存事業にリスクを背負う余力がどれだけあるかの見極めである。共倒れしないように事前のリスク計算が必要だ。次に、人材投入の問題がある。本来、新規事業ほど優秀な人材を欲するのであるが、目先の利益を優先し、余剰人員を当ててしまい、人事の抜擢ができないという恐れがある。
以上、"事業化"の成功要件(継続と貢献)のベースとなる考え方や既存事業との兼ね合いについての問題を考えてみた。
すべての事業にはライフ‐サイクル、寿命はある。仕事の"事業化"は、マネジメントの永遠のテーマであるといえよう。