ストーリー
2013年06月03日
ブームなのだろうか・・・。最近、経営や戦略といったビジネス書に"ストーリー"という言葉が目立つ。
いわゆる、日本語に訳していうと「物語」である。なぜ、経営や戦略を語るのにストーリー性を重視するのだろうか・・・。一義的に、簡単にいうと、「記憶に残りやすい」「伝わりやすい」という効果を期待してのことだろう。
それこそ「昔、昔・・・」の話になるが幼い頃、日本の昔話、イソップ(ギリシャ)、アンデルセン(デンマーク)、グリム(ドイツ)などの童話や物語が流行っており、いろいろと聞いたり、読んだりした記憶がある。しかも今でも、その内容が"ストーリー"として記憶に残っているから不思議だ。(しかし、それらがイソップだったのか、アンデルセンだったのか、を問われると自信はないが・・・)
さて、前置きが長くなったが、ある方からの紹介で読んだ『ストーリーとしての競争戦略~優れた戦略の条件』(楠木建 著)は、ちょっとボリュームがあるが、歯ごたえがあって、面白い。(著者自身が、この本の"ストーリー"を楽しんでいる・・・)
著者の主張を一言でいうと、「優れた戦略には、必ず"ストーリー"がある」ということだろう。ここでいう、"ストーリー"とは一言でいうと、「関係性思考である」と考える。目的という視点から全体と部分との関係性をしっかりと捉え、目的に向かって全体としての大きな流れをつくっていく、その重要性を"ストーリー"と呼んでいるのである。
著者はいう。戦略の定義を教科書的にいうと、「「戦略とは、組織がその目的を達成する方法を示すような、資源展開と環境との相互作用の基本的なパターン」と書いてあるが、わかりにくい。戦略の本質を一言でいうと、「違いをつくって、つなげること」だと・・・。実に、「なるほど」だと思う。
戦略の真髄は、「特定の文脈に依存した因果論理のシンセシス(綜合)」である、「アナリシス(分析)の発想と相容れない」という。だから、"ストーリー"性が大切となる。
そして、筋の良い"ストーリー"の基準は一貫性である。
一貫性の次元としては、「①"ストーリー"の強さ(因果関係の蓋然性が高いこと)、②"ストーリー"の太さ(構成要素間のつながりの数の多さのこと)③"ストーリー"の長さ("ストーリー"の拡張性や発展性が高いということ)」の3つが考えられる。
実は、著者の楠木建先生(一橋大教授)には、今年のNN構想の会・全国大会(9月12~13日)の基調講演に登壇して頂くようになっている。(乞う期待、楽しみだ・・・)
この書物、とても一回で語り尽くせる内容ではないので、次回にも戦略ストーリーの「骨法10カ条」を中心に紹介をしたいと考えている。