5つの質問
2014年07月14日
『後継者育成塾』(NN首都圏会主催)へ招かれ、講師を務めた。
久しぶりに、『リスクをチャンスに変える「ドラッカー流マネジメントの真髄」~自らの手で未来を創造する』というテーマで、ドラッカーを取り上げた。
ドラッカーが他界して10年近くになるが、不朽の名作の数々は増版を重ねており、本屋の書棚からなくなることがない。それどころか、ドラッカー関連の書物はいっそう増えているようだ。
ドラッカーは、「マネジメントとは組織に成果をあげさせるもの(道具・機能・機関)」と定義している。そして、そのための課題は次の3つである。
① 組織の使命について考える
② 事業の生産性と働く人たちの達成感について考える
③ 社会的責任について考える
そして、ドラッカーが組織における成果を自己評価するための経営ツールとして自ら考案し、経営者に提唱したのが 次の"5つの質問"である。
① われわれのミッションは何か?
② われわれの顧客は誰か?
③ 顧客にとっての価値は何か?
④ われわれにとっての成果は何か?
⑤ われわれの計画は何か?
この"5つの質問"を繰り返し、繰り返し、自らに問い続けることによって経営のサイクルがスムーズに流れ、目標管理のシステムが確立されるのである。本当に優れものであり、有難い贈り物である。
「何のための事業か?」とミッションを問うことによって組織の存在理由が明らかになり、働くことに意味を与えてくれる。そして、事業の価値を理解してくれる顧客の存在を知り、その顧客の期待を理解することによって、何を成果としてイノベーションしていくのかを考え、行動するための計画を策定できるのである。
①~④の質問を徹底して考え抜くことによって、レベルの高い目標設定が可能になる。目標設定の良否がマネジメントの質を決めるのであるから、成果が高まることは請け合いである。
ドラッカーは、「"5つの質問"がもたらすものは、行動のための計画である」と述べているが、まさに「知識と意図を行動に変えるための経営ツール」だといっても過言ではない。納得がいくまで、反芻するだけの価値がある。