クチコミ
2014年08月11日
先週末、『新ビジネスモデル研究会(NBM)』(主催・NN構想の会)の第13期が最終講(全6回)を終えたところである。
2003年にスタートを切って、はや12年になる。そして、いつも最終講を終えるときに、気になるのが"学後の実践"である。私たち職業会計人は知的サービス業の担い手であるから、けっこう学ぶことの好きな人が多い。
だが、問題は実践にある。なぜか?新しいことを学び、それを実践するには、そのサービスの受け手が必要になるからである。そう、顧客の創造、ニーズの掘起しが上手くないのである。
士業という先生稼業の習い性か、頼まれ事への対応はうまくこなすのであるが、売り込むような営業は、どちらかというと苦手なタイプが多い。というよりも、端から営業は自分の仕事だと思っていないのである。任された仕事は、要領よくこなしても、新しい仕事を自らつくる人は、少数派である。
ずいぶん前に、ある本で得た情報であるが、マッキンゼーは、決して売込みをしない主義だそうで、「その伝統があるからこそ、今のマッキンゼーがある」という。売込みをしないからこそ、マッキンゼーはビッグになった・・・。つまり、マーケットイン発想(=つねに顧客の視点で考える)で、物事の本質を捉え、抜本解を求めていく姿勢、これをプロフェッショナリズムと称して信条としているのである。
この考えに触れたとき、まさに「我が意を得たり!」の感があった。そういえば、ドラッカーも「売り込まないでも売れる仕組みをつくることこそ、マーケティングの真髄である」と言っていた・・・・・。
私たち会計人には社会的な使命がある。それは、企業の存続・発展を下支えするという社会的インフラとしての役割である。その意志をもって、自らの仕事を全うすれば、顧客のロイヤリティーは、自然と高まっていく。そして、顧客が顧客を呼んでくれる。ロイヤリティーの高い顧客の"クチコミ"に優る営業戦略はないのである。
次の言葉を、徹底して自問自答しながら、つねに仕事をやってみよう。
「自分が何をやれば、顧客が仕事を進めやすくなるのだろうか?」 この発想さえあれば、必ず相手に喜んでもらえるサービスの提供を心がけるはずである。
「仕事の報酬は仕事である」という名文句があるが、まさにその通りである。いい仕事をすると、必ずといってよいだろう、またその仕事の依頼が舞い込んでくる。今や、情報伝達の手段が多様化し、一層その感が強い。
"クチコミ"の数は、顧客ロイヤリティー度の関数である。