画餅
2014年09月08日
ある人とプランニングの話をしていて、思い浮かんだ言葉がある・・・"画餅"だ。
"画餅"とは、絵に描いた餅のこと。つまり、"画餅"は食べられないことから、実際に役に立たないものの例えとして使われる。
事業計画を立てるお手伝いをしたものの、うまくいかず、ムダ骨を折る。「所詮、絵に描いた餅だ・・・」と嘆息をつかれ、その後なかなかつくってもらえなかったという、過去の苦い経験を思い出す。
しかし、良く考えてみると、元来、プランニングとは、思考と行動を一致させ、成果を出すためのシナリオづくりだから、"画餅"になるようでは、そのつくり方に問題があると考えるべきである。
計画は、達成すべき目標(成果)とその手段(行動)からなる。大切なことは、成果を明確にして(「いつまでに」、「何を」、「どれだけ」達成するか)、それを達成するためにどのような行動をとるかを決める必要がある。つまり、成果に焦点を合わせていないと、"画餅"になる恐れがある。先に、目標あっての手段である。
次の問題は、行動の段階である。計画は、行動するために作るものである。ゆえに、作った段階で、その実行可能性のチェックを綿密にやっておく必要がある。そして、行動の結果は検証・フィードバックへと繋がれる。
そこで、もう一つ大事になってくるのは、行動のプロセスが検証可能な状態で記録されているかどうか、である。プロセス管理が不徹底だと、結果に対する原因の究明があいまいになり、検証の判断を見誤ってしまうことになるであろう。
"画餅"に陥ってしまう最後の問題は、検証・フィードバックの段階である。計画は、すなわち仮説である。仮説は、その通り実行して、ほんとうに成果が出るのかどうか確かめる必要がある。つまり、検証しなければ、仮説はいつまでも仮説に過ぎない。
やってみて、うまくいかなければ、仮説を変える必要がある。その機能が、検証・フィードバックである。つまり、「仮説~実践~検証」の経営サイクルを繰り返し、繰り返しやり続ける意思をもった人だけが、仮説を真説に変えることができるのである。
真説とは、「こうすれば、必ずこうなる!」という確信である。俗にいう、勝利の方程式であり、勝ちパターンである。このレベルに到達した人の意思決定の必然性は、当然ながら高い。
彼らは、経営計画を絶対に手放さないし、計画をつくることを「所詮、絵に描いた餅だ」とは、言わないし、思ってもいないのである。
"画餅"とは、なさぬ人のいい訳だと考えたほうがよい。