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考える言葉

事なかれ主義

2015年05月11日

 組織の中に慣れ親しんだ快適ゾーンが確立されてくると、"事なかれ主義"の誘惑にさらされるという。その内、それが組織の文化や常識となり、それらのリスクを疑うことすらしなくなる。
 組織が健全であり続けるためには、高い水準の仕事の成果が必要である。そのためには、事業機会溢れるチャレンジゾーンへ踏み込む必要があるのだが、失敗を嫌うのか、誰もがそのチャンスに気づかない振りをしてしまうのだ。まさに、マネジメントが機能不全に陥った状態であるといえよう。
 パラダイムシフトが起きている環境の中で、現状維持などあり得ないのである。新たな成長領域を見出していく努力をしないかぎり、存続・発展は困難であると考えたほうがよい。
 前回の"考える言葉"シリーズで、「優れたトップほど、たくさんの失敗談をもっている。・・・優れたトップは、失敗から学ぶ姿勢がいい」と述べたが、ドラッカーが次のようなことを述べている。
 「信用をしてはならないのは、決して間違いを犯したことのない者、失敗をしたことがない者である。そのような者は、無難なこと、安全なこと、つまらないことにしか手をつけない。成果が打率であることを知らないならば、横並びを成果とし、弱みがないことを強みと誤解する。そのようなことでは、組織の意欲を失わせ、志気を損なう。人は優れているほど多くの間違いを犯す。優れているほど新しいことを行うからである」
 IGグループ創業以来の31年間を振り返ると、つねに変化の連続だったような気がする。出来つつある安定的な基盤に安住しようという気もなく、内心冷や汗をかきながらでも、いつもチャレンジしてきた・・・。その気持ちは今も変わらない。
 「業界において常に先駆的役割を担い、品質の高い知的サービスを通じて企業の繁栄に貢献する」というIG理念に恥じぬように心がけて仕事をしてきたからであろう。また、創業の比較的はやい時期から導入し、システム化した『IG式目標管システム』の効用が主体性の高い人材育成に功を奏しているからだと確信している。
 優れた仕事ぶりとは、一過性で終わってはならない。長期的で、多様な仕事で成果を生んでいく必要がある。ドラッカーがいうように、成果の打率を高めていけるような仕事ぶりである。
 ましてや、変化の激しい今日、"事なかれ主義"のような考え方で高い水準の仕事をメンテナンスしていけるはずがない。失敗を恐れず、チャレンジ精神を培っていきたいと思う。

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