ソリューション営業
2016年04月11日
先週のIG幹部会における研修テーマの一つとして取り上げられた"ソリューション営業"について考えてみたい。
国内市場が成熟化する過程で、プロダクトアウト(商品ありき)からマーケットイン(顧客ありき)の志向へシフトする必要性が叫ばれてから久しい。その一つの解決策として提案され、ブームになったのが、"ソリューション営業"だったような気がする・・・。
"ソリューション"とは、課題解決という意味であるが、"ソリューション営業"とは顧客企業の課題の解決方法を提示しながら、そこに自社の商品やサービスの販売を組み込んで提案するという営業スタイルである。
時代に合った素晴らしいモデルだと思う。だが、「言うは易く行うは難し」である。いくつかの壁がある。
先ずは、全体的問題の掌握力。顧客企業の部門を超えたビジネス全体の問題をどうやって掌握するのか・・・。部分だけでは捉えることができない全体像をどうやって把握できるのだろうか。
次に、当事者意識である。他人の問題を真に自分の問題として考えることができる価値観を持ち合わせることができるのであろうか・・・。
さらに、"ソリューション営業"を関係性の思考から考えると、次のように定義できる。「顧客と"価値ある関係性"を構築するための提案型営業」であると・・・。ここでいう、"価値ある関係性"とは信頼である。
つまり、相互信頼関係が構築できるかどうかである。このように、"ソリューション営業"を定義してみると、その本質は信頼である。信頼できる人であるかどうかをお互いに見定めることができるかである。"ソリューション営業"が成功するか否か、それは終始一貫、信頼がテーマとなる。
企業の経営計画を策定するお手伝いをしていると分かるが、目標の数値化は簡単にできる。だが、数値重視の計画は必ずと言っていいほど、頓挫する。画餅と化すのである。何故か?経営者の思いや魂(=365日の生き様)が欠落しているからだ。
信頼し合うということは、お互いの思いや魂に、それを価値観と置き換えてもいいと思うが、共感し合うことであると確信する。このように考えていくと、"ソリューション営業"は、テクニカルな営業レベルではなく、経営計画や事業計画策定のはじめから、一体となって関わり、価値観を共有し合ってはじめて成果につながるものだと考える。
揺るぎない信頼関係を構築できなければ、反って仇となる恐れがある。肝に銘じでおきたい。