攻めの経理
2016年05月17日
どんな企業でも、"経理"の仕事はある。最近では、外部の会計事務所などにアウトソーシングするところも増えているようであるが、会計帳簿の作成は法律で義務付けられている・・・。
そこで、日々の取引を記録して、会計帳簿を作成し、決算をする。その動機は、義務だから・・・。利益が出ていれば、税金対策に知恵を絞ることもあるだろう。しかし、これでは、守りのために経理をしているに過ぎない。
経理には、"攻めの経理"がある。経営者の意思決定をサポートし、未来を創造していくために大切な情報を提供していくための経理である。小生が、未来会計と呼んでいる領域の経理は、まさにそうである。
まさに、渋沢栄一がいうところの「論語と算盤」である。論語とはその事業を成り立たせている基盤の考え方(=理念やフィロソフィー)であり、算盤とはその考え方を具現化するために必要な利益の確保(=計数管理)をいう。つまり、経営の両輪なのだ。
例えば、経営者の仕事をし易くするために、次のような事を常に考えて経理を行う。
① 必要最小限利益をどうやって確保するのか?
どうすれば、売上を伸ばし、利益率を高めることができるか。固定費の無駄を常になくす意識をもつ。
② どうすれば効率的な資金繰りの仕組みができるのか?
銀行はじめ取引先との交渉力を磨く。金利を1~2%下げるだけでも違う。また、資産等の回転率(在庫管理や売掛・買掛管理、投資等など)を高めるだけでも、資金は廻るようになる。
③ 企業価値を高めるためにはどうすればいいのか?
資産と負債・資本のバランスを考え、内部留保の充実と自己資本比率の向上を常に考えて、経理を行う。
経営者の視点で、経理を考える。これが、"攻めの経理"である。
本来、数字とは正直なもので、ごまかせないものだ。だから、経理には事実を正しく把握する力がある。把握した事実を、次の打つ手にいかに活用するか。経営に活かす数字力を問われるのである。確実に業績を伸ばし、成長し続ける社長には必ず経理の達人(プロ)が寄り添っている。京セラの稲盛さんがいうように、「正しい会計が分からんで、正しい経営ができるのか!」は、実に名言である。
事前のリスク計算をきちんと行う未来会計は、「"攻めの経理"を担う人にとって習得すべき重要な考え方であり、計数管理の手法である」と考える。