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考える言葉

目標設定

2016年09月26日

 "格差"が、あらゆる局面で社会問題となっている。かつて、一億総中流社会といわれていた頃からすると、隔世の感がする。
 企業経営においても、"格差"は常態であり、さらに広がり続けている。業界丸ごと儲かるような仕組みは、すでに壊れてしまい、一人勝ちする企業が出てくると同時に、淘汰を余儀なくされる企業も出てきている。
 同じような環境に身を置きながら、なぜ"格差"が生じるのだろうか?企業間においては一言でいうと、マネジメントの質の差だといえる。では、その質の差は、どこから生じるのであろうか?小生は、目標設定の良し悪しだと考えている。
 正しく経営をしようと思うならば、自らの目的や目標を明確に定めることは必要条件である。つまり、目標設定ができていないということは論外だと考える。問題は、設定した目標の良し悪しである。
 例えば、全社目標を定め、それを各部門や個人へと役割分担化していく。そのときに、各部門や個人の自ら達成すべき目標は誰もがちゃんとつくっている。問題は、各部門や個人間相互の関係性に対する目標が欠落していることが多い。つまり、①他部門等の目標達成にどのような貢献ができるかという目標や、②自部門の目標達成に対して他から貢献してもらいたいという目標が、言及されていないことが多い。相互の関係性が重要視される今日的環境においては致命的な問題である。
 また、こんな問題もある。「今期中に、×××を達成したい!」という目標を立てたとしよう。これは結果目標である。そのために「毎日、×××を必ず実行する」という行動目標が必要となる。意外と、この行動目標が具体化されていないことが多いのである。結果目標は外部環境から制約を必ず受けることになる。自らの意思で自由にコントロールできるのは行動目標のみである。
 これら2点は、"目標設定"のときに十分に考慮すべきことである。
 さらに、経営の現場では必ずトレードオフが生じることも念頭において"目標設定"しておくべきである。
 ① 利益とのバランス(「売上を最大に、経費を最小に!」という考え方)、② 現在と未来のバランス(設備投資と回収期間など)、③ ほかの目標とのバランス(二項共存関係の考え方)
 ざっと考えてみても、"目標設定"に対しての意識レベルの差が認識できよう。その差が、そのままマネジメント力の差につながり、格差の原因となっているのである。
 ぜひ、"目標設定"に衆智を集めて頂きたいと思う。

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