問題意識
2018年10月01日
同じ職場環境で日々の仕事をしているのに、一年も経たないうちに、仕事の覚えが早く、著しく成長する人と、そうでない人がいる。
その差はどこから生じるのだろうか・・・?人を採用し、育成する立場にある者にとっては、つねに悩ましい問題であると同時に、興味深い課題でもある。
随分前に読んだ本の一節に、次のようなことが書かれていた。
「問題を持たない人は何も発見できない。平生何かに精神を集中していると意外な発見をする。ここに人生、事業、学問の秘訣がある」(安岡正篤)。
つまり、常日頃の"問題意識"の差、その積み上げが、人の成長力の差となっているということであろう。さほどの"問題意識"も持たず、指示されるままに、自分の頭を使わずに、手だけを動かしていたのでは、脳も錆びついてしまうものだ。
向上心をもって前向きに問題を探し、自らの創意工夫をしながら、日々の仕事に取り組んでいると、脳は活性化し、性能を増すものである。日曜・祭日などにノンビリし過ぎてしまうと、調子が出るのに時間がかかったという経験は、誰もがあるだろう。
やはり、自己成長を促したければ、つねに"問題意識"をもって、問題から逃げないような習慣を身につける必要があるだろう。では、その"問題意識"は、どうすれば養うことができるのだろうか・・・。
① 目的を確認すること(手段の目的化という罠に陥らない)。
② 向上心をもって努力をし続けること(慢心や傲慢。上には上がいる!)。
③ 自己正当化しないこと(謙虚さ、素直さ)。
④ 難しいことにチャレンジすること(リスクはチャンス)。
⑤ 世のため、人のために尽くすこと(利他心)。
⑥ 失敗を恐れず、やってみること。
⑦ 身近に素晴らしいライバルを探すこと。
他にもいろいろとありそうだが、自分にとって、しっくりといく課題を絞り込んで、真摯に取り組んでみることだと思う。
「山中の賊は破るは易く、心中の賊は破るは難し」(『陽明全書』)を以前に習ったことがある。
王陽明は、上記のような表現で、自分を律することの難しさを指摘している。つまり、「人生最大の敵は、自分の心である」ということだ。日々慢心することなく、心中の賊を破るべく、修養することが大事。経営とは、つねに問題と向き合う姿勢である。
"問題意識"を磨けるように、向上心をもって仕事に専念したい。