ホトトギスの歌
2020年10月21日
『トップの教養』(倉山満 著)という本の中に、面白い解説があったので紹介したい。
我が国の戦国時代の「三英傑」といえば、誰もが織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の名を挙げるであろう。
この「三英傑」の歌として、有名な"ホトトギスの歌"がある。
「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」(信長)
「鳴かぬなら 鳴かせてみよう ホトトギス」(秀吉)
「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス」(家康)
このなかで一人だけ天才がいるという。「それは誰か?」というのが著者の問いかけである。答えを想像してみよう・・・。
天才の定義を「無から有をひねりだす人」だとした上での答えであるが、信長や家康ではなく、答えは秀吉であるという。
何故かというと、「殺す」は決心、「待つ」は根性があれば、誰でもできる。それに対して、「鳴かせる」は工
夫、イノベーションが必要だからだという。
"ホトトギスの歌"といえば、「三英傑」の性格やタイプを知る手掛かりとなる歌だということで学び、そう納得してたのだが、この著者は「誰が天才か?」という視点から"ホトトギスの歌"を捉え、彼らがなし得た業績を検証した。そして、トップ経営者として最も真似すべき人物は誰かを言及している。
真似すべきでない筆頭は、天才である秀吉。秀吉は、次から次へと人が思いつかないことを思いついて、リスクを潜り抜け、出世街道を驀進した人である。それは天才だからなせる業・・・。余人に真似ることができないことだ。
次に、家康である。家康は「待つ」「忍」の代名詞のような武将で、それは才能がなくてもできるかもしれないが、その代わり並外れた精神力が要求される。現に、お家を守るために、妻も息子も殺している。これも真似るのは難しい。
そして、織田信長こそトップに立つ人が学ぶにふさわしい人物であると紹介している。
何故かというと、信長という人は、①真の意味でのマキャベリストで、常識を積み重ね、物事を合理的に取り入れていること。そして、②現実主義者で、現状を把握したうえで最適解を探し、課題を打開するやり方をとっていること。③さらに素晴らしいのは志の高さだ。信長は34歳のとき、尾張57万石に美濃54万石を合わせて、111万石の所領を得ていた。いまでいう「1000億円の財産を築いたIT社長」のような状況であった。にも拘らず、「天下布武」の志を掲げ、安穏な生活を捨てて戦った。これが魅力の所以であると・・・。
さて、あなたならだれを真似る?