選択と集中
2022年04月18日
世の中には、仕事や勉強ができる人とそうでない人が存在する。
「その差はどこから生じるのか?」と問われると、昔から、それは費やした時間の問題ではなく、"集中力"の差であるとよく聞かされたものである。
現代社会最高の哲人の一人と称されたP・F・ドラッカーも"集中力"について、次のように述べている。
「成果をあげるための秘訣を一つ挙げるならば、それは"集中"である」と・・・。
確かに、自らの体験からいっても、仕事や勉強、読書、また遊びにおいてもそうだが、無我夢中になっていたときは、気づかないうちにあっという間に時間が過ぎていて、我に返ったときには、なんとも言えない充実感に満たされていたことがある。
さて、今回のテーマである"選択と集中"について考えてみたい。
ドラッカーが、マネジメントにおいて提唱している"選択と集中"とは、経営戦略を立てる際に欠くことのできない手法のことである。
一般的にいう「集中」とは集中力の意味で使われることが多いが、マネジメントでいう"選択と集中"は、あるものを一つ選び(コア事業)、そこに経営資源を"集中"投入することをいう。
二つの"集中"の違いは、「時間の長さ」である。前者の"集中"は多くが瞬間的で、長くてもせいぜい一日。だが、後者の"集中"は、持続的である。
もちろん、ドラッカーがいう"選択と集中"での「集中」の意味は、後者、つまり一つのことを継続してやり続けるという意味である。
"選択と集中"という考え方で、限りある経営資源を有効活用するときのポイントは二つあるという。
① 第一は、捨てること。
"集中"とは、多くの可能性を捨てることでもあり、あえて選ばないという勇気が必要とされるのである。
② 第二は、任せること。
人に任せるということは、自分にしかできない仕事だけが残り、それを極めることで卓越性が生まれることになる。ところが、人に任せることに不安をもつ人がいて、任せる勇気が必要となる。
その意味で、選んで一つに決めることは勇気そのものであり、その一つをやり続けることは覚悟そのものだといえよう。まさに、ドラッカーがいうマネジメントにおける"選択と集中"とは、勇気と覚悟の結晶だと考える。