管理手段
2022年05月07日
IGグループでは、創業の当初から、自律的で、主体的な人材に育ってもらうことを目的として、ドラッカーが提唱した「目標管理(MBO)」(Management by Objectives)を導入し、やり続けている。
「目標管理(MBO)」というシステムを運用するときに、最も気をつけなければならないのは、「管理(control)」という言葉の意味の捉え方である。
ドラッカーは、「管理」について次のように述べている。
「"管理"という言葉はできるだけ避けたい。なぜなら、それは"支配"を想起させるからだ」と・・・。すなわち、「知的労働者を管理、監督することはできない」というのが、ドラッカーの信念である。
さらに、ドラッカーの「成長」についての考え方は、次の通りである。
「成長は、常に"自己啓発"によって行われる。企業が人の成長を請け負うなどということは法螺にすぎない。成長は一人ひとりの人間のものであり、その能力と努力に関わるものである」
つまり、人間は誰でも"自己啓発(self‐development)"しようという意思を持っているという。そうであるならば、「人材育成の基本は、育てるのではなく、育つ環境を提供することである」という。
育つ環境とは、"働きがい"をもてる環境と置き換えてもいいだろう。働きがいに関して、ドラッカーは次のように述べている。
「働きがいを与えるには、仕事そのものに責任を持たせなければならない。そのためには、①生産的な仕事、②フィードバック情報、③継続学習が不可欠である」と。
つまり、責任は、働きがいの源泉である。つまり「責任を果たすことが働きがいを生むことになる」のである。
そして、責任をもたせるための条件として、次の3つことを示唆している。
① 仕事を生産的なものにすること
② 成果についてフィードバックすること
③ 継続学習が不可欠
以上のように考えると、"管理手段"を用いた方向づけは、一人ひとりの人間の「動機づけ」につながらなければならないということである。
「仮説~実践~検証」という経営サイクルを用いたマネジメント手法を展開するにあたって、"管理手段"の意味を改めて問う必要があるだろう。「評価測定」の本質は、一人ひとりが自らを振り返り、自ら動機づけることにあると考える。
"考える言葉"シリーズ(22‐17)