リーダーのあり方
2022年06月20日
これまでも、"リーダーシップ論"は何度ともなく取り上げてきた課題の一つである。改めて、考えてみたい。
最近再読している本の中に、『経営を見る眼』(伊丹敬之 著)がある。経営の入門書として実によくまとめられたもので、今までも何度となく手に取り、読み直した本の一冊である。
その中に、"リーダーのあり方"について書いてある箇所(第8~11章)があるので紹介をしたい。
氏は、「経営とは、他人を通して事をなすこと」と定義し、だとすれば、経営の第一歩は、"リーダーのあり方"、つまり、「人を動かす、そして人が自ら動く」ということについてしっかりと考えるべきだという。それが、経営の本質だからだという。
そして、そのためには「働く人たちの心の掌握、人心の統一が、企業組織リーダーの最大の仕事だ」ということになる。
ここまで書いていて、ふと思い出した言葉がある。鉄鋼王として有名なアンドリュー・カーネギーの墓碑銘に書かれているという次の言葉だ。
『己よりも賢明な人物を身辺に集める方法を心得た男、ここに眠る。』
ヘンリー・フォードも、同様に、自分よりも賢明な人物を身辺に集めていたことを自負していた経営者の一人だったという。
さらに著者は、「名経営者は、必ず名教育者だ」という。
経営とは、「他人を通して事をなすことだ」。つまり、他人が「自ら事を行うように仕向ける」のが経営だとすれば、それは教育の本質と同じである。教育の本質は自学であり、自育なのである。
リーダーの要諦とは、次の三つのことをきちんと行うことだと言える。
① 部下たちに仕事全体の方向を指し示す。
② 部下たちが仕事をしたくなる、やりやすくなる環境を整備する。
③ その後は、彼ら自身が自分で仕事をやるプロセスを刺激する。応援する。
他人を通して事をなすには、人を信じ、仕事を任せることから経営は始まる、とも思う。それが、出発点であると言えよう。
アメリカの教育者、ウィリアム・ウォードの言葉に、次のような名言があるという。
「凡庸な教師は、命令する。いい教師は、説明する。優れた教師は、範となる。偉大な教師は、心に火をつける」。
「The great leader inspires」。リーダーとして、精進し続けたいと思う。