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考える言葉

論理的思考

2022年07月04日

 経営者には、「論理的に物事を考える力、すなわち"論理的思考"が必要だ」と、しばしば耳にする。

 「経営とは真理と一体となった営みをいう」(『経営人間学講座』)の言葉通り、なぜかというと、経営は論理であり、論理を知らなければ、実践できないからだ。論理なき実践は、行き当たりばったりの試行錯誤になってしまう。

 "論理的思考"は、自らの実践の根拠として必要であると同時に、もう一つは他に対して説明する能力として、経営者にとって欠くことができない資質であろう。

 不透明な時代環境の中で舵取りをしなければならない経営者にとって、先見力や洞察力を養う必要があるというが、その資質を支えているのが"論理的思考"ではないだろうか。

 経営には、様々な論理があるだろう。戦略・戦術を考えるための論理、組織論やリーダーシップ論なども然りである。

 「経営を見る眼」(伊丹敬之著)では、そうした様々な論理に共通する基本論理として次の三つの論理が大切だとしている。

 ① カネの論理(経済の論理)

一般の企業は、市場経済の中で経済的目的を第一義的な目的としてつくられて

いる。市場経済では、カネが購買力を決め、富の蓄積を決めている。ゆえに、カネの論理が経営の論理の中心にくる。

 ② 情報の論理(見えざる資産の論理)

 企業の活動は、情報のやり取りと蓄積から成り立っているといえよう。市場における様々な情報のやり取りが学習につながり、それが情報蓄積を生み出している。

 ③ 感情の論理(人間力学の論理)

これは、人間くさいが、論理である。単に情緒だからわからないとか、心理だから計算できないからといって無視できないものである。

これら三つの基本論理はしばしば、相互に矛盾するという。故に、総合判断をせざるを得なくなるという。

 さらに、経営判断においては環境を無視することはできない。経営の具体策を考えるとき、環境との絡み合いや環境条件の動き、変化も影響があることを考慮する必要があるだろう。環境の変化、ゆれ動きこそ常態である。

 経営には論理がある。方程式もある。そしてゆれ動きもある。そうした経営の要素を総合的に判断して考える、"論理的思考"が求められている。

 

 

                   "考える言葉"シリーズ(22‐26)

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