意思
2023年06月12日
先週(8~9日)、「IG事務所見学会」(実務経営サービス&MAP経営共催)が弊社で開催された。20数名ほどの参加者であったが、大変熱心な方々が集い、多くの質問も飛び交い、楽しい二日間であった。
参加者の思いは一つ、弊社が事業展開している「未来会計(MAS監査)」のノウハウを学び、できれば事業化したいという思いであろう。
そこで必ず出る質問が、「事業化、その成功の秘訣は何か?」である。小生の答えはいつも決まっていて、「それは、トップの覚悟」だと応える。そして、「その覚悟をどれだけ組織に浸透させることができるかどうか」・・・。
ここでいう覚悟とは、「成果が出るまで諦めず、やり続ける"意志"」だと言える。
最近読んだ本に、『価値循環が日本を動かす』(デトロイトトーマツグループ著)の中に、フランスの哲学者アランの言葉であるが、「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は"意志"によるものである」(『幸福論』)という一節を紹介している。
幸福とは、"意志"と行動によって自らつかみ取るものであると、アランは喝破したのである。幸福に限らない、経営においても同じだ。何か新しいことにチャレンジし、それを事業として成功させるには、"意志"の力が必要となる。
われわれ会計業界に限らず、長期停滞に苦しむ日本経済のすべてに言えることだ。
「失われた30年」という言葉に惑わされて、悲観的な気分に浸っていても状況は何も変わらないと思う。
日本の未来を悲観視する大きな要因の一つは、世界に先駆けて起こっている少子高齢化に伴う「人口減少」の問題がある。だが日本に限らず、将来、世界の多くの国が人口減少に向かうと予測されている。
これも視点を変えると、未来の世界を先取りしているといえよう。
今までと違う新たな成長モデルを構築することができれば、新しい時代環境を切り拓いていく先駆的な役割を担うことになり、日本は羅針盤として世界に指針を示すリーダーとしての存在になるだろう。
そのためには、今までの「使い捨て経済(製造~消費~廃棄)」から脱却することだ。
著者は、人口に頼らない経済成長の考え方として、「価値循環」を提唱している。
そして、「失われた30年」というのは、われわれ日本人が「価値循環」という新しい価値観に目覚め、生まれ変わるチャンスを授かったと思うべきだと思う。
そのチャンスを生かすかどうかは、我々一人ひとりの"意志"の力だと思う。そして、"意志"の背景にあるその人の価値観(物の考え方)を理解する必要があるだろう。
"考える言葉"シリーズ(23‐21)