人財
2024年04月01日
いつ頃からか、定かではないが、"人財"という文字が使われるようになった。
かつてから使われていた「人材」と何が違うのだろう?ニュアンス的には分かっているつもりだが、少し明確にしておきたい。
「イノベーション思考法」(黒川清 著)を再読していると、その点について述べてあったので参考にしてみたい。
著者によると、"人財"という言葉が使われ出したのは、1990年代の中頃からのことではないかと述べているが、小生の記憶もそんな感じだ。人を、価値を生み出す「財」として認識することの大切さを言い表したのであろう。
「人材」の「材」は材料の「材」、つまりこれまでは人は材料だとみなしてきたわけだ。それが、最近では、「材」を財産の「財」に代え、「人財」と表現することが増えてきているようだ。
その時代背景としては、交通手段の発達とインターネットに代表される通信技術の革新に伴う、世の中のグローバル化も一役買っている。
個々の人間力が生み出すローカルな価値が、ネットやメールを通じてグローバルに展開される状況が日常性に起こり、画一化された価値観は崩れ、多様化していく時代である。
マーケットごとに異なる顧客ニーズを見極め、常に新しい発想で対応しない限り、生き残りが難しい・・・。画一化された仕事をこなす「人材」ではなく、市場の多様性に知恵を出し、適応できる"人財"が強く求められているのである。
「人材」の場合には、仕事をする上で役立つ能力を重視し、代替可能なリソースとして捉えられる。一方、"人財"とはその人の持つ価値観(モノの考え方)を重視するので、他の人には代えがたい人という意味を持つ。
以上が、「人材」と"人財"の違いだと考える。
「人材」教育に必要なのは、その人の持つ能力・技術を高めることなので、画一化された一定の訓練を施しやり続けることで成長できる。だが、"人財"教育とはそうはいかない。人の価値観は十人十色である。
まず、自分が身につけている価値観が正しいのかどうか、自己検証してもらう必要がある。自分本位な価値観で生きていないか?相手の立場に立って、自分と価値観の違う人を理解し、受け入れようとしているのか?
グローバルな時代に必要とされる"人財"を育成しようとするためには、価値観(モノの考え方)を重視する必要があると考える。
"考える言葉"シリーズ(24‐11)