XY理論
2024年04月15日
2024年04月15日(月)
『完全なる経営』(アブラハム・H・マズロー著)を再読していると、解説のところで、ダグラス・マグレガー(1906~1964)の"XY理論"について触れている個所があった。
改めて思うに、半世紀以上も前に提唱された経営管理論である。彼は、その著書『企業の人間的側面(The Human Side of Enterprise)』(1960年著)において、「人間の可能性を開放すれば、それだけ企業の業績も向上する」と主張したのである。
マグレガーは人間に対する見方を次の二つに大別し、それぞれをX理論、Y理論という言葉で呼んだ。
① X理論・・・本来、人は怠ける生き物なので、命令や強制で管理しなければならないという立場に立脚している。(アメとムチによる管理手法)
② Y理論・・・本来、人は進んで働きたがる生き物なので、労働者の自主性を尊重すべきであるという立場に立脚する。(自主性、主体性を尊重する管理手法)
マグレガーのこの考え方の基礎となったのが、マズロー(1908~1970)の「欲求5段階説」であったという。
マグレガーは、「どのような方法で人間を管理するのが最も効果的だと仮定しているか。これが経営トップに対する最も重要な問いかけである。経営陣がどのような仮定に立って人材を管理しているかで、企業の性格が決まるのである」と指摘している。
IG会計グループが「IG理念」を具現化する唯一の手段として取り組んでいる「IG式目標管理システム」は、マグレガーのいうY理論的な人間観に基づいて構築されたものであるといえよう。
その理由は、「IG式目標管理」が「一人ひとりの主体性を重視する自己統制的な管理手法」だからである。
しかしながら、「目標管理」は容易に成果に結びつくものではない。なぜならば、「目標管理」は人間の自己実現的な欲求を前提としたプロセス管理のシステムだからである。つまり、個人の"主体的な成長欲求"によって動機付けされなければならないからである。そして、もっと大切なことは、経営トップの姿勢、考え方、価値観が問われるものだと感じている。
Y理論をベースにした目標管理システムの課題は、人々を動機づけることではなく、
動機づけられた人々が最大限の貢献をしようと進んで努力するよう、環境を整えることであると考える。単に能力的な成長だけではなく、価値観のレベルが上がるような環境を整えたいと思う。
"考える言葉"シリーズ(24‐13)