逆境
2024年07月10日
この世の中はままならないものである。何かしたいと思えば、必ず意のままにならないことが起こるものだ。
"逆境"というのは多くの場合これを意味するのだろう。
新渡戸稲造の著である『逆境を越えてゆく者へ』を参考に"逆境"への向き合い方を学んでみたい。
「咲かざれば桜を人のおらましや さくらの仇はさくらなりけり」という歌がある。
他人が羨ましく思うことが当人にとっては苦痛となることも多く、従ってどんな人でもそれに相当した"逆境"があるものだ。
"逆境"はすべての人にある。この自分の思い通りにならないことには次の二種類があるという。
➀ 天の授けるもの(運命)
② 自分がつくり出すもの(自業自得)
二種類の禍いのうち人生でどちらが多いかといえば、自らつくり出すものの方がはるかに多いという。ただ人は普通、その理由をよく考えず、天を怨んだり他人を怨んだりするのだ。しかし、罪を他人のせいにするのは知恵が少ないからだと言える。
"逆境"にある者は、次のような危険に陥りやすいという。
① 危険一:ヤケを起こしやすい
② 危険二:他人の境遇を羨みやすい
③ 危険三:他人を怨みやすい
④ 危険四:過激な破壊行為をやるか、逆に陰気、卑屈、悲観的になって不平不満 を言いながら日々を送り、天を怨む
⑤ 危険五:同情心を失いがちである
⑥ 危険六:心に傷を残しやすい
では、人生における逆境とどう向き合えばいいのだろうか?
「ピンチはチャンス!」という言葉があるが、まさに"逆境"こそ精神を鍛える絶好のチャンスではないだろうか。つまり、"逆境"そのものを善用して、精神の修養に役立てるようにするだ。
いわゆる逆境があるから、精神が鍛えられ、物事に動じなくなる。また、その経験があるからこそ、他人に対する思いやりの心をもてるようになるし、自らの器を大きくすることができる。
"逆境"から学ぶ姿勢をつねに心掛けたいと思う。
"考える言葉"シリーズ(24‐24)