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考える言葉

迷い

2024年08月06日

 誰もが自らの人生において、「何かに迷う」ということを幾度となく経験しているのではないだろうか。
現に今、"迷い"の最中にいる人もいるだろう・・・。
 しかし、「何かに迷う」ということは、不快なことではあるが、人間として生きている証拠だとも言える。人間はもともと迷う生き物なのだ。それは人間が複雑な社会を生きているからに他ならない。ある意味、進化している証拠だともいえよう。
 中西輝政(政治学者、歴史学者、京大名誉教授)は、その著書の中で「"迷い"は将来への投資である」と延べて、「人間は、つねに相反する二つのものを持ち、自分に問いかけていくべき存在だ。その中で悩み、惑い、試行錯誤することこそ、考えを広げ、深める訓練の場となる」と。
 「社長は誰も孤独で"迷い"続けている」という言葉をよく耳にするが、確かに日々難題に向き合い、孤独な意思決定をせざるを得ない経営者にとっては、"迷い"(悩み)
は一種の職業病だともいえるだろう。
 ① 業績の低迷、伸び悩み
 ② コスト削減の悩み
 ③ それに伴う資金繰り悪化
 ④ 優秀な人材確保ができない
 ⑤ 人材が定着しない
 ⑥ 取引先との関係性に悪化
 ⑦ 将来への見通しが不透明
等々・・・。経営者というは、ホントに"迷い"(悩み)の尽きない役職である。
 松下幸之助も、松下政経塾で"迷い"について次のように語っていたという。
 「今はまだ、"迷い"に迷って、骨と皮になるというくらいに迷ってもいいわけや。迷えば迷うほど偉大なものが生まれる。苦労のしがいがあるものや。そやけど迷わんでもいいことで迷ったらあかん。それと、自分の感情にとらわれたらあかん。素直な心がなかったらそうなってしまう」と・・・。
 現状に甘んじることなく、新たなことにチャレンジしようという気持ちで日々仕事に取り組んでいると、"迷い"はあって然るべきだろう。
そんなとき、「"迷い"は将来への投資である」という言葉を思い出し、焦らず、じっくりと迷いと向き合う姿勢であるべきだろう。
「満足した豚よりも不満足なソクラテス」でありたいと思う。
                   "考える言葉"シリーズ(24‐28)

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