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考える言葉

生命力

2024年10月22日

中村天風(1876~1968年)といえば、「人生は心一つの置きどころ」という名言を思い出

させる。

 幸福になるのも、不幸になるのも、すべては「心が決めている」と・・・・・。

 この言葉と出逢ったのは、もう数十年以上も前になるが、あの当時の何か意味不明なモヤ

モヤ感や苛立ちが心からスーッと消えて、やるしかないと腑に落ちたのが、今でも鮮明に覚

えている。

 それ以来、この言葉を座右の銘として、心の整理整頓を心掛けてきて、今があると思って

いる。

 今回もそうだが、書棚の整理をしていると、スーッと目に止まり、手にしたのが『中村天風 

銀の言葉』(岬龍一郎 著)である。

 "生命力"とは、生きる力、生き抜く力である。万物の霊長として天から授かった人間の"生

命力"には、他の生物にはない心(魂)が備わっている。

 その"生命力"をいかにして甦らせて、「人間が人間として生きていくのに一番大事なの

は何か」を説いたのが天風哲学の「心身統一法」であるが、人間の本質である心(魂)を

鍛えることを本旨としている。

 天風哲学の教義である「心身統一法」は、「生命の力」を甦らせる方法を説い

ているのであるが、理解しやすいように"生命力"を次の6種類に分けている。

 ① 体力・・・本当に頼もしい状態にあるか。

 ② 胆力・・・人間としての普通の心の強さであり、無用な心配をしない。

 ③ 判断力・・・物事を正しく認識し、評価する能力である。

 ④ 断行力・・・困難や反対を押し切って強い態度で実行する。

 ⑤ 精力・・・仕事を成し遂げていく元気。

 ⑥ 能力・・・物事を成し遂げることのできる力。

以上、「6つの生命力」を甦らせる最大・最高の源泉が「積極的精神」であるという。

 そして、この「積極的精神」を持ち続ける心得としては、まず消極的で、否定的観念を

捨て去ること。「消極的なのは本来の性格ではなく、積極的精神は努力で養うことがで

きる」という。

 それから、取り越し苦労は、「ムダな努力」であり、積極的精神の大敵だという。

また、取り返しのつかないことで心を悩ませるのもよくない。未練は断ち切るしかない。

 要は、人生は良くも悪くも自身の心の持ちようで決まるというのだ。「精神一到何事か

ならざらん」(朱子)である。

 天から授かった"生命力"。人生、まさに「心一つの置きどころ」である。

 

                                      "考える言葉"シリーズ(24‐37)

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